2018/07/02更新

1. メディエイターを用いた酵素の電極反応

酵素は活性中心と呼ばれる酸化還元にかかわる部位が蛋白質に取り囲まれた構造をとっている。酵素からその活性中心を取り出すことで、電極上で電気化学的に酸化還元を行うことができる。しかし、蛋白質と一体となった酵素そのものの酸化還元を直接行うことは容易ではない。これは、酸素や過酸化水素あるいは酵素から取り出した活性中心のような小さい分子は電極と直接接触できるが、分子サイズの大きい蛋白質に囲まれた活性中心は電極に近接できないので、電極と電子のやり取りが起こりにくいためと考えられている。
このような場合、活性中心と電子のやり取りをして電極まで運ぶ小さな分子を仲介役として用いると酸化還元することができる。ここで電子を運ぶ役割を担う分子をメディエイターあるいは電子シャトルと呼ぶ。

分子の大きさと電極反応



参考文献

小沢昭弥.現代の電気化学.初版,新星社,1990年,201-202p.