2018/06/18更新

1. 表面処理の目的

代表的な表面処理方法にめっき、アノード酸化、塗装などがある。表面処理法の目的には表面を美しくする装飾化、強度を上げる耐食・耐摩耗性化、特殊な機能を持たせる機能化がある。


2. めっき

めっきとは、カソードの対象物表面に金属イオンを還元析出させて、その金属薄膜でコーティングする技術のことである。この金属イオンを還元させる方法には、電気を通じて電子で還元する電気めっき法と、電気を使わずに還元剤から電子を与えて還元する無電解めっき法がある。

金属イオンの還元は以下の(1)式で表せるが、

Mn++ne-→ M     (1)

水溶液系の場合、常に水素発生反応と競争になり、より起こりやすい反応が進行することになる。したがって下図に示す斜線部の金属析出が優先する。また、ドットで塗られた部分の金属は水素発生が優先し水溶液系では金属析出が起きないが、有機溶媒系や溶融塩系などの非水溶液系ではめっきできる。

2.1 装飾めっき

装飾のために行われるめっきではAuやAgなどの貴金属めっきが主要部分を占めていた。時計や装飾品のめっきでは、単純な光沢調ではない質感を出すためにSn-Co、Ni-Wなどの合金めっきも多く用いられる。

2.2 無電解めっき

無電解めっきは化学めっきとも呼ばれ、電気を流さずに触媒の作用を借りた還元剤によって金属イオンを金属として基板上に析出させる方法である。したがって、電気を通しにくい基板上に金属を析出させることを得意とする。無電解めっきの代表的な例として、古くから鏡の作成に利用される銀鏡反応による銀めっき、プラスチックなどにめっきするためのいわゆる下地めっきなどがある。無電解めっきの長所として不規則な表面に均一にめっきできること、不導体へ直接めっきできることなどがある。

周期表によるめっき金属の分類*


*非金属元素や一部の元素は省略してある。



参考文献

小沢昭弥.現代の電気化学.初版,新星社,1990年,143-145p.