2018/05/28更新

1. 実用化されている電池

電池が実用化されるためには、エネルギー密度が大きいこと、大電流放電が可能であること、充放電サイクル寿命が長いこと、自己放電が少なく保存寿命が長いこと、安全で信頼性が高いこと、安価でどこでも入手可能であることなどの条件が必要である。これらの条件を十分に満たすことができる電池活物質の組み合わせは極めて限られている。現在製品化されている電池は一次電池で10種類、二次電池で2〜3種類である。

2. マンガン乾電池

正極にMnO2、負極にZn、電解液にZnCl2溶液(NH4Clを少量添加したもの)を用いる。安価でかつ電池性能が優れていることから日本の一次電池生産量の約60%がマンガン乾電池である。
図1に示す円筒型乾電池では負極活物質であるZn自身が円筒缶として容器を兼ねている。内側にセパレータ(クラフト紙)を介して、MnO2粉末とアセチレンブラック(導電剤)の混合物をZnCl2aqで練り固め、成形した正極合材を挿入し、中央部に炭素棒を打ち込んだ構造をしている。

図1 円筒型乾電池の構造例


マンガン乾電池の電池反応を以下に示す。



電池反応からわかるように水も反応物であり消費されるため、漏液しにくいという特徴を持つ。

参考文献
小沢昭弥.現代の電気化学.初版,新星社,1990年,75p.