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【論文内容要旨】
論文内容要旨
平成 25年度入学 博士前期課程
専攻名 物質化学工学専攻
学生番号13520304
氏 名 伊藤知之 ○印
論文題目 エネルギーデバイスに使われる非導電性材料の構造が
その電気的性能に与える影響
第一章では緒言、第二章では実験方法について記載した。
第三章では有機半導体の簡便迅速評価について述べた。有機トランジスタ用の有機半導体は数多く合成されている。キャリア移動度を測定するには実際に有機トランジスタを作製しなければならない。しかしながら模擬デバイスを使った評価ではその作成に大掛かりな装置が必要であり、また時間もかかり、評価コストが大きい。さらにサンプルとして模擬デバイス作成に必要な分量が多く微量評価ができなく、合成された有機半導体の移動度を微量かつ簡便・迅速に評価する方法が見当たらないという課題があった。第3章ではコンダクトメトリーにより有機化合物の溶液の導電率が有機半導体の評価に使えるかどうか調べることを目的とした。結論として有機化合物の半導体の特性は、有機化合物の溶液の導電率を測定することにより、微量の試料を迅速かつ容易に評価することが可能である。有機化合物の溶液の導電率は、分子の実際の半導体特性に関連している。スタッキングの感度は、デバイスの移動度および有機化合物の溶液の導電率と比較して評価することができた。
第四章では活物質の見かけの比誘電率と電池の性能の関係について述べた。活物質粉体のインピーダンス測定をおこない、マンガン酸リチウムはサンプルによって見かけの比誘電率が約100倍異なった。IR、ESR、XRDのなどの分析を行いこの見かけの比誘電率の違いは活物質の表面が影響していることを明らかにした。見かけの比誘電率大きいマンガン酸リチウムは反応速度が速く高速充放電可能であるが、合材と集電体との接触抵抗は大きくなった。
第五章では電池合材スラリーが同一の組成であるにもかかわらずスラリー調整条件によっての合材と集電体との接触抵抗は約200倍も異なった。スラリーが同一組成でも炭素材料、特にカーボンナノチューブの解砕が不十分だと活物質が炭素材料で覆われず、活物質が集電体皮膜に直接接触してしまうため接触抵抗が増大してしまう。カーボンナノチューブでは特に分散方法が顕著にAl集電体と合材の接触抵抗に影響することを明らかにした。
第六章では鉄粒子が異物として混入いるカーボンナノチューブを、正極に使用した際、充電時に正極でその鉄粒子がイオンとして電解液中に溶解し、そのイオンが要因で鉄由来の析出物であるリチウムの複合化合物が負極側で析出し化学短絡の要因になることを明らかにした。また電池に使用するセパレータは電気を流さない非導電性材料にもかかわらず、セパレータの種類によって鉄由来の析出物の析出量、大きさ、析出する場所が異なった。
(1,200字程度)